川や海の汚れの原因と水道に与える影響

川や海の汚れの原因と水道に与える影響

例えば、飲み残したみそ汁を台所の流しに捨てたとします。悪気はないかもしれませんが、そのまま捨てることは川や海を汚染することを意味します。このような行為が、なぜ水を汚しているのでしょう?
ここでは、川や海が汚れる原因と水道に与える影響を説明します。

川や海が汚れる原因

産業排水・畜産排水

かつて産業排水が水を汚す大きな原因でした。産業廃水とは、農林漁業や鉱工業からの排水を指します。特に、工業排水は、水質汚染などさまざまな公害となるため、法律で規制されています。工場などに対する規則を強化し、水質を安定させる排水処理対策が進みましたが、現在、生活排水が最大の原因となっています。

生活排水

炊事から入浴など人間が生活していく中で排出されるのが生活排水です。流しにみそ汁やラーメンのスープを捨てたことがあるかもしれません。例えば、みそ汁をお椀1杯流した時、きれいにするには浴槽4杯分の水が必要となります。

生活排水について

食品をそのまま流すと

みそ汁などの食品には栄養塩類の窒素やリンが含まれており、伊勢湾や瀬戸内海などの閉鎖性水域(水の流出入の機会が少ない環境におかれる海)にこれらの物質が流れてしまうと、プランクトンを増殖させ、赤潮を発生させる原因になります。赤潮が発生すると、漁獲高が激減したり魚が取れなくなったりする恐れがあります。

1日あたりの汚水量

1日に流す汚水量は、1人およそ250リットルで、その中に40gの汚れが含まれています。生活雑排水(生活排水の中でも、し尿を除くもの)からの汚れは27グラムで、70%を占めています。一人一人の汚水量で考えると少ないかもしれませんが、それらが集まることで凄まじい量の汚れとなってしまいます。このように、生活雑排水を排水口にそのまま流してしまうと、水を汚す原因となるのです。

水道に与える影響

水道水が使えなくなる?

河川の水を水道水として利用しています。そのため、少しでも河川が汚れると、水を綺麗にするまで膨大な時間とお金が必要となります。さらに、消毒するために塩素を多く使わなければいけないため、カルキ臭が強くおいしいとは言えない水になってしまうのです。

私たちができること

台所の排水口にストレーナーを取り付ける

ストレーナーは液体から固形成分を除去するために使う網状の器具です。例えば、1ミリ穴のストレーナーを取り付けると、排水汚れを30%程きれいにする効果があります。自宅の排水口が小さく、ストレーナーが設置できない場合は水切りネットなどを利用しましょう。ちなみに、水切りネットの代用として、使わなくなったガーゼやストッキングを使うこともできます。

食品・油をそのまま流さない

捨てることを防ぐために、汁物などの料理を作り過ぎないようにするのも大切です。もし残ってしまったら、新聞紙などに吸わせて捨ててください。

また、食器についた油汚れは、キッチンペーパーなどでしっかり拭ってから洗うようにしてください。すると、洗う時に水や洗剤の無駄遣いを防ぐことができます。キッチンペーパーがない時は、新聞紙を利用しても構いません。

洗剤を使い過ぎない

洗剤をたくさん使っても洗浄力はさほど強くなりません。使い過ぎると洗剤を無駄にするだけでなく、川や海を汚してしまいます。メーカーによって異なりますが、ある食器用洗剤には使用量の目安を記載しています。そのような表示があれば、それにしたがって使いましょう。

まとめ

川や海が汚れる原因は生活排水にあります。河川の水は海に流れ込むため、川が汚れれば海も汚くなります。そして、水が汚れれば海が赤くなる赤潮が発生したり、海中が酸素不足となり魚たちが住めなくなったりします。水を汚さないために、流しには直接汁物や油を捨てないように心掛けましょう。

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