なぜ日本の水道水は「飲めるのか」

なぜ日本の水道水は「飲めるのか」

日本では、蛇口をひねれば当たり前のように水が流れ出てきて、その水を飲むことができます。しかし水道水をそのままでは飲むことのできない国もあります。水道水がそのまま飲める国は15カ国ほどしかなく、日本はたった15カ国の中に含まれた水道水がそのまま飲める貴重な国なのです。ここでは、日本の水道水が飲める理由について説明します。

水道水が飲めるのは3段階の浄水処理のおかげ!

川の水や雨水が水道水の原水となっています。しかし川の水や雨水は汚れているため、そのまま飲むことはできないため、これらの原水を安心して飲水に変えるところが浄水場です。浄水場では沈殿・ろ過・消毒という3段階の浄水処理が行われています。まず取水関と呼ばれる設備で水を取り、沈砂地に流れて大きな砂や土が沈められて取り除かれ、着水井まで運ばれていきます。着水地から薬品混和池・フロック形成池・沈殿池を通過して、ろ過池へと進んでいきます。薬品混和地では、凝集剤であるポリ塩化アルミニウムを水に加えて混ぜることで、水の中にある細かい土や砂をくっつけて大きくします。
フロック形成池では、水の中の細かい土や砂を沈みやすくし、沈殿池で大きくなったフロックをゆっくり沈めていきます。そしてろ過池では、沈殿池で除去しきれなかった小さな汚れをより除き、砂の層でこすことで、飲水として利用できるほどのきれいな水となります。

塩素殺菌で安心して飲める水に!塩素殺菌の仕組み

塩素は非常に強い毒性があり、人体に有害な物質である一方で、コレラ菌や大腸菌などの殺菌にも役立っています。塩素を使用した処理が行われていなかった時代では、飲水にまざる病原菌やウイルスなどが原因で病気を発生していましたが、塩素殺菌消毒を行うことで飲水にまざる病原菌やウイルスなどが原因でおこる病気になることがなくなりました。浄水場では、アンモニア態窒素や鉄を取り除くために、殺菌消毒として塩素が使用されています。特に消毒効率が高く、安定して供給できることから次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウムが使用されています。

塩素のメリットとデメリットを理解しておこう

メリット

  • 殺菌力が強い
  • 水に残留して殺菌効果を持続できる

塩素には強い殺菌力があり、ウイルスや細菌の感染力をなくします。水道施工法でも、給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg / L以上保持するように塩素消毒をするように定められています。
塩素で消毒することで、飲水としての安全性が確保できるのです。

デメリット

  • 塩素独特のカルキ臭
  • トリハロメタンが生成される
  • 人体にとって有害

塩素に含まれる独特の臭いがカルキ臭で、水道水の味や臭いはだいぶ改善されるようになりました。しかし完全に臭いがなくなったわけではないため、気になる人は多いようです。
カルキ臭を気にならない程度までにするには、水道水を一度煮沸させるといいです。トリハロメタンとは塩素消毒をする際に出来てしまう化合物のことで、発がん性があると指摘されている物質でもあります。また塩素を大量に摂取することで喘息などを引き起こすことはあると言われています。
しかし大量に摂取しなければ人体に問題はありません。

おわりに

日本の水道水は浄水場で、沈殿・ろ過・消毒という3段階の浄水処理が行われているためそのまま飲むことができます。そして塩素によって飲水にまざる病原菌やウイルスを殺菌することで、安心して飲める水へとしているのです。
しかし塩素は、トリハロメタンの生成や人体にとって有害だといったデメリットがあるということも理解しておきましょう。安全に水道水を飲むためには、ちょっとした工夫が必要です。

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