滋賀県にある琵琶湖は、近畿の水瓶という重要な役割を果たしています。近年、環境汚染によって生きるために必要な水の供給を脅かす状態となっています。この状態が続いてしまうと、将来水を安全に使うことができなくなる恐れがあります。ここでは、琵琶湖の環境問題を紹介します。
琵琶湖について
国際的な保全水域
琵琶湖は日本のほぼ中央にある日本最大の淡水湖です。湿地保全の国際条約であるラムサール条約に登録された、国際的な保全水域でもあります。この条約は湿地の保存に関するものです。水鳥を食物連鎖の頂きとする湿地の生態系を守ることを目的としています。
渡り鳥の越冬地
琵琶湖は近畿に住む1,400万人の大切な水ですが、ここにはさまざまな動植物が生息しています。この湖に、毎年、ヒシクイやコハクチョウなどの鳥類が6万羽以上飛来し、全国的にも有名な渡り鳥の越冬地にもなっています。
環境問題について
沿岸域の開発
1960年以降、琵琶湖は沿岸域の開発に伴って、水質汚染が進みました。1970年代、環境悪化に対する危機感や改善を求める住民の声、厳格な水質改善が実施された結果、琵琶湖は水質改善の兆候を見せています。湖水の品質は改善しつつありますが、湖に流れる水源の湧水に生息していたはずのタナゴなどの魚がいなくなっています。さらに、琵琶湖の固有種であり名産品のニゴロブナなどの魚の漁獲量も激減しているのです。
魚類の減少の原因として環境変化が挙げられます。琵琶湖沿岸にあった内湖(水域)は1940年代にはその60%が干拓(農地などに造成する)によってなくなり、2,900ヘクタールの内湖の総面積は430ヘクタール程に減少してしまいました。さらに、1950年に入ってからヨシ原の面積も減少しました。このように、生物が豊富な土の水路を持つ水田は少なくなっていきました。
外来魚
日本各地に生息域を拡大している、ブラックバスなどの外来魚は琵琶湖でも大きな問題となっています。1920年、日本国内に北米産のブラックバスが持ち込まれ、琵琶湖で見られるようになったのが1970年に入ってからでした。1970年後半には、ブラックバスによる漁業の被害が出ました。
ブラックバスは約5センチになると、魚の稚魚を捕食するようになります。そのため、湖などにこういった外来魚を持ち込むと、もともと生息していた魚に悪影響を及ぼします。外来魚の駆除にあたっていますが、未だにこの問題は未解決となっています。
琵琶湖の保全活動
石けん運動
1970年後半、琵琶湖の淡水赤湖の発生をきっかけに、主婦を中心に合成洗剤の使用を控えて、粉石けんを使う運動「石けん運動」が県内で始まりました。ちなみに、赤湖とは悪臭を放つ赤褐色のプランクトンが大発生することです。発生した原因の一つが、合成洗剤に含まれるリンであったため、県民が中心となって天然油脂を用いた粉石けんを使おうと動いたのでした。石けん運動だけでなく、琵琶湖の水を守るために市民による保全活動は現在でも行われています。
ブリヂストン琵琶湖生命の水プロジェクト
2004年9月、WWFジャパンと株式会社ブリヂストンが共同で始めたプロジェクトです。琵琶湖流域の水環境を現地市民・行政・企業が一丸となって、守ることを目指す取り組みとなっています。ブリヂストン彦根工場を拠点に、自然観察会や調査活動が行われました。最近では、絶滅危惧種でコイ科であるカワバタモロコの繁殖研究の支援に取り組んでいます。
まとめ
今後も周辺地域の人口増加が考えられており、ますます水質が悪くなると考えられています。琵琶湖の水を守るために、石けん運動を見習って合成洗剤から粉石けんに切り替えれば、水質汚染を抑えることができます。これからのために、今日から始めませんか?
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