中国における深刻な水質汚染と飲水の問題

中国における深刻な水質汚染と飲水の問題

日本では、あまり報道されていませんが、中国では水質汚染が深刻な問題となっています。世界人口の2割を占めていますが、水資源は世界全体の7%しかないのです。都市の9割の地下水・河川・湖沼の水の7割が汚染されています。ここでは、中国の深刻な水質汚染と飲水の問題を説明します。

中国の水質汚染

2009年、中国住宅・都市建設部水質センターが行った全国の都市飲用水状況に関する調査によると、水道水の安全基準をクリアした配給地域は、全体の50%だと発表しています。これは、半分の地域で汚水を水道水として供給していることを意味します。また、ほとんどの都市の給水配管の素材は劣悪で、国際基準を満たしていません。鉄のパイプが50.8%、コンクリートのパイプが13%、亜鉛メッキ銅管が6%となります。給水配管が古いと、爆発する可能性があります。

七色の川

青い川や赤い川など考えられない色をした中国の川ですが、工場排水が垂れ流されることでこのような色になってしまいます。
河南省西部にある洛陽市内を流れる川は、違法操業の染物工場が垂れ流した赤い染料で真っ赤に染められ、「血の川」となったことが報じられてニュースとなりました。専門家によると、中国の河川の水質は改善することができないレベルに達したと言われています。

人体に影響

中国は人口が多いことで知られていますが、急激な経済発展によって公害が原因となる遺伝疾患を持つ人が日本よりも圧倒的に多いです。この国では毎年90万人もの奇形児が生まれています。いい加減な環境管理によって、重工業地帯などから有害廃水が垂れ流されたり、有害廃棄物が投棄されたりすることが原因となっています。

飲水の問題

毎日7億人が汚染水を飲む

中国で暮らす人口に対して、中国国土で利用できる水の量が大幅に不足しています。2006年・中国国家環境保護総局の調査によると、中国の河川の60割が飲水に適さないほど汚染していると報告されました。

水が原因の病気

2013年、中国環境保護部は、がん村が23の省、5つの自治区に存在し、中国国内に247ヶ所あることを認めました。
日本では考えられないようなことですが、中国ではがん村と呼ばれる村人の半数以上が「がん」になるという村が増えているようです。原因は飲用水の汚染にあります。このような村の平均寿命は約45歳、がんによって、小さな命まで奪われている状況です。

水質改善への動き

中国政府は飲料水を確保するために870億ドル(日本円で9.5兆円)を環境プロジェクトに投資したり、長江中流域にある三峡ダムに力を入れていたりしますが、未だに回復の兆しは見られていません。
環境プロジェクトには、日本の国際協力機構(JICA)も関わっており、中国の黄砂標準物質の作成・中国各地の黄砂発生源地域の黄砂などの特性調査・分析方法といった研究を行っています。

中国国務院による行動計画

中国国務院が全国の水質汚染の改善に向けて、行動計画を発表しました。都市部の生活汚染水の処理場を増やし、未処理の廃水をそのまま流す企業の取り締まりを厳しくして、河川の浄化を進めることが挙げられます。そして、2020年までに、長江などの7大河川と周辺流域の7割以上の水質を優良レベルまで引き上げることを目標としています。さらに、地方の河川で問題となっている汚染水も全体の1割以内に抑えることも掲げています。

まとめ

中国の水質汚染の回復兆候は見られず、水質は改善することができないレベルに到達してしまったとも言われています。中国国務院による行動計画によって水質汚染が少しでも改善することが注目されています。

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