なかなか知られていないダムによる水質汚染

なかなか知られていないダムによる水質汚染

ダムは河川を横断して流水を貯めるために設置されているもので、ダムに貯められた水は、水道用水や工業用水などに利用されます。川の水が少なくなると、水質保全や農業用水の確保といった理由によって、ダムに貯められている水を一定量流出して川の機能を守る役目もあります。さらに、堤防から氾濫する洪水を一旦貯めて堤防に安全な量の水を流すことで、下流地域を洪水などの被害から守ってくれます。
心強い存在ですが、ダムによる水質汚染が問題視されています。ここでは、ダムによる水質汚染を説明します。

水質汚染の原因

ヘドロ

ダムの底には上流から落ち葉・枝片などさまざまな有機物が流れ込んできます。都市部に近い場合、生活ゴミも多く入ることもあります。本来、河口域まで流されて徐々に分解されるはずなのですが、それらの物質が底に蓄積し、撹拌されず酸素の少ないところで分解されることでヘドロになります。
また、古いダムには多量のヘドロが蓄積し、大きな問題となっています。そのままにすれば、水深を減少させ、水質を悪化させる原因となります。とはいえ、下流に流すと広範囲に渡って汚れを流すことになってしまいます。
出し平ダムで実施された第1回連携排砂事業は多くのヘドロを下流に流し、漁業に深刻な影響をもたらしました。

出し平ダム

下流に土砂を排出する新型のダムとして、富山県黒部市宇奈月町・黒部川本川に建設されました。出し平ダムが活動して6年目の平成3年に第1回排砂放流が行われました。本格的な排砂ゲート(貯水内の堆砂を流下させ、ダム下流に排出させるもの)を装備したダムは、このダムが初めてで、運用技術がなかったため生物の活動が減少する冬に排砂することを考えました。いざ、排砂放流を行うと、6年間ダムの底に積もった土砂の中に含まれていた落ち葉や有機物などが嫌気性環境(酸素のない環境で生じる)で変質し、ヘドロとなって排出されました。この地域の冬は渇水期で、河川水も減った状態だったため、排出されたヘドロが海まで流れ長時間滞留し漁業に大きな被害を与えました。

日本初の本格的な撤去・荒瀬ダム

熊本県八代市にあるダムです。荒瀬ダムが建設される以前、球磨川には、毎年アユが数千万匹遡上していましたが、ダムが建設されてからはダム湖にヘドロがたまって、環境は悪化してしまいます。その結果、漁獲量が激減します。その後、荒瀬ダムが2012年に撤去を開始することが正式に決められました。ダムが撤去されると、川の水がきれいになっていき、ダムにたまっていた土砂が海に流れたことにより、干潟が再生し貝類の漁獲量は上昇、さらにいなくなっていたウナギも穫れるようになったのです。

ヘドロ対策

バイオコロニー

遺伝子工学の先端技術によって誕生した、微生物を使った水質・ヘドロ浄化剤です。これは、世界で最良と評価されるバクテリア菌をベースに、優秀な親菌にUVライト・亜酸化窒素などで突然変異させた「変異菌」を利用しています。水深のあるダムなどの浄化は非常に難しかったのですが、バイオコロニーは撒くだけで、微生物を底まで沈めて、蓄積した汚泥を分解除去し、底にたまったヘドロや悪臭を浄化してくれます。さらに、この浄化剤に含まれるゼオライト(沸石)が吸着することで、ダイオキシン濃度を減少させます。このように、ダムを取り壊す前の浄化処理にバイオコロニーを散布すれば、工事中に汚水が下流に流れても汚水流出を最小限に抑えることができます。

まとめ

ダムは飲水になったり洪水調節したりできますが、底にたまるヘドロによって水質が悪化していることがわかりました。難しい問題ですが、事前に落ち葉など流量を調べるなど綿密な調査を行った上でダムを建設するのが大切になっていくのではないでしょうか。そして、建設後どのようにダムの品質管理をしていくかが鍵となるでしょう。

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